第26回 フィルモアコンサート

コンサートを終えて・・・

多くの方にご来場いただき、無事に演奏会を開催することができました。
また、杉並区より「新しい芸術鑑賞様式助成事業」として承認していただきました。

当日の様子をYoutubeにて公開いたしております。
第一部
第二部

曲目紹介

最初に演奏致しますのは、昨年生誕250周年のメモリアルイヤーを迎えたルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770~1827)のバレエ音楽「プロメテウスの創造物 Op.43」序曲です。
当団団員にもベートーヴェン好きは多く、近年はおおよそ隔年で序曲と交響曲をセットにして取り上げておりました。
さまざまなジャンルの楽曲を数多く残したベートーヴェンですが、バレエ音楽は生涯2曲しか書いていません。もう1曲「騎士バレエのための音楽」は初期に習作的に書かれたためこの作品が彼の残し た唯一のバレエ音楽といっても過言ではなさそうです。
人間を創造し火を与えたとされるギリシャ神話の男神プロメテウスを題材にしたこのバレエ音楽は、作曲者本人も大変気に入っていたようで、終曲に登場する主題はいわゆる「プロメテウス主題」として、後にいくつかの曲に用いられることになります。
ウィーン古典派の伝統を受け継ぐ美しく均整のとれた形式と旋律、生き生きとスピード感あふれるテンポ、コンサートの幕開けにふさわしい華やかな序曲です。

続いては管楽器のみの編成でイタリアの作曲家ガエターノ・ドニゼッティ(1797~1848)の「木管楽器のためのシンフォニア」を演奏致します。
ドニゼッティはロッシーニやベッリーニと並び19世紀前半のイタリアオペラにおける代表的な作曲家として知られており「愛の妙薬」「ドン・パスクワーレ」などのヒット作を次々に生み出し大成功を収めました。オペラほど知名度は高くないものの器楽曲も実は相当数残しています。特に20歳前後の若い頃は恩師スタニズラオ・マッティの指導もあり、さまざまな編成の作品に挑戦していたようです。
曲は室内楽的な編成ながら、シンフォニアというタイトルが示すように、まさに当時のイタリアオペラの序曲のような作りになっています。短い序奏に続き快活な部分に入るとオペラさながらの印象的な旋律が登場し展開してゆきます。また、機動力や歯切れの良さ、音域などそれぞれの楽器の特性を見事に生かした作品だと感じます。現代では演奏される機会が少ないのですが、今後も演奏され続けて欲しい素敵な作品です。

第一部の締めくくりは弦楽器のみの編成、20世紀のイギリス音楽界を牽引したベンジャミン・ブリテン(1913~1976)の「シンプルシンフォニー Op.4」です。
「戦争レクイエム」や「青少年のための管弦楽入門」などの作曲者として世界的に知られているブリテンは指揮者やピアニストとしても活躍し、1956年に来日した際にはNHK交響楽団を指揮しています。
若い頃には当時台頭してきた無調音楽や前衛音楽にも関心を示し、アルバン・ベルクに弟子入りを志願した時期もあったものの叶わず、実際には前衛と真逆の伝統的な和声を追求し保守的な要素が見られる作品を多く残しました。この作品も、古典組曲とも言えるような構成になっており、かつ4つの楽章それぞれにユニークなタイトルが付いています。

第1楽章「騒がしいブーレ」【Boisterous Bourrée】
第2楽章「おどけたピッツィカート」【Playful Pizzicato】
第3楽章「感傷的なサラバンド」【Sentimental Saraband】
第4楽章「ふざけた気分の終曲」【Frolicsome Finale】

どのタイトルもB.B、P.P、S.S、F.Fと頭文字を揃えていてとてもユーモラスです。
全ての楽章の主題は自身が9歳〜12歳の頃に作曲したものを用いており、その才能と早熟さには驚きます。

ちなみに第一部2曲目そして3曲目のタイトルは「シンフォニア」と「シンフォニー」です。小さめの編成ではありますが、あくまで室内楽ではなくオーケストラ団体としてのこだわりで選曲してみました。

第二部、今年のメインは2012年以来我々にとって2度目の挑戦となるベートーヴェンの「交響曲第7番イ長調Op.92」です。
1808年に第6番の田園交響曲が書かれてから3年以上もの間、彼は交響曲の創作から遠ざかっていました。この空白の3年間、彼はいろいろな苦労を味わっています。
1809年ナポレオン軍の侵攻によりオーストリアとフランスが交戦状態になり、支援者達がウィーンから逃れてしまったため金銭的な支援を受けられず、また耳の病は悪化の一途をたどるばかり、さらに恋愛と破局を経験しています。しかしながら、このような絶望的な状況下でこそ彼の芸術家としての真骨頂が発揮されます。
驚くべきことにこの時期の作品はそのほとんどが明るい長調のものばかり、またロマンティックなものも多く見られます。その最も象徴的な作品がこの第7番交響曲でしょう。いまだ世界的に人気の高いこの作品のあらすじは以下の通りです。

<第1楽章>
美しくも重厚な導入部がしばらく続いた後、この作品の顔とも言える6/8拍子の躍動感あふれるテーマが登場、ほぼ途切れることなく続きます。
<第2楽章>
明記されてはいないものの、明らかに葬送行進曲を思わせるリズム、しかしながら悲痛な旋律と言うよりは慰められるような雰囲気の曲です。
<第3楽章>
得意としたスケルツォ楽章、奔放に乱舞するような舞曲が続きます。途中のトリオではのどかな民謡風の旋律が登場、これはオーストリアに伝わる巡礼の歌のモチーフです。
<第4楽章>
速いテンポの民族舞曲が絶え間なく続き、熱狂的な高まりを見せたあと急激に曲を閉じます。

ワーグナーがこの曲を「舞踏の聖化」あるいは「舞踊の神格化」と呼んだのは有名な話ですが、まさにその執拗なまでのリズムの繰り返しによって人々を心から浮き立たせ、熱狂させる、魂に訴える名曲だと感じます。 40分を超える大曲、じっくりとお楽しみください。
【フィルモア合奏団 音楽監督 成田 徹

本年も演奏会の開催が決定しております

2022年11月20日(日)
会場:杉並公会堂 大ホール


指揮:成田 徹・関根 志郎
演奏:フィルモア合奏団
後援:杉並区教育委員会

フィンランディア(シベリウス)
アイルランド組曲(アンダーソン)
交響曲 第9番 「新世界より」(ドヴォルザーク)

詳細が決定しましたら、ご連絡いたします。
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